卵から雛がかえる。生命を生み出す秘密が研究の出発点
2007年から共同研究を開始して17年目。
研究開始当初のことを振り返り、産学連携をスタートしたときの印象を教えてください。
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- 跡見
- 2007年より連携が始まりました。 当初は、東京大学の教授陣に向けて「卵殻膜が持つ力を研究したい」とアルマードさんから打診があったことがきっかけでした。
当時は先端科学から健康を考えるという分野はまだ未成熟でしたが、体の基となる細胞からヘルスケアを考えるというのはチャレンジングで興味が湧いたことを覚えています。
とはいえ、最初は「なぜ、卵殻膜?」と思いました。でもそのあと長谷部ファウンダーと会って考えが変わりましたね。
Ⅲ型コラーゲンと卵殻膜に関する仮説は非常に興味深かったですし、「卵から雛がかえるのはなぜ?それに、民間療法では卵殻膜を傷に貼るとキレイに治る。卵殻膜に秘密の力があるのでは」という長谷部ファウンダーの素朴な疑問には納得感がありました。率直になかなか面白いと思ったのです。というのも、卵殻膜はメッシュワーク構造でできているのですが、これは私が研究してきた骨格筋と似た構造です。0.1マイクロメートルという薄さの基底膜という名前で、その構造が卵殻膜と似ているのです。
例えば現在研究が進んでいる幹細胞についても、筋肉の基底膜とくっついているとずっと生きて活動していく。そうした研究をしてきたので、卵殻膜のメッシュワーク構造に載せてみたら同じような働きが期待できるのではと考えました。当初はなかなか理解されませんでしたけど。
私たち人間は37兆個の細胞と細胞が分泌する細胞外マトリックスでできていますが、その細胞自体はコラーゲンなどを分泌します。細胞には基本構造があり、卵殻膜にも似た構造があることが分かりました。よく考えたら、卵から雛がかえるというのも、卵をお母さんのおなかの中と同じ状態に保たないといけないという観点から、当然すごいレベルでないといけないですよね。
そうして卵殻膜を調べたら0.07㎜という薄さでも3層構造を持っており、酸素は通しても栄養素を含む水分は漏らさない、紫外線も通さない、抗菌・抗ウイルス効果もある。だから雛がかえる。これはすごい物質だぞと思いましたね。どうやって種を保存していくか。長い間で獲得し、進化してきた知恵が詰まっているのです。
その後、30名の女性を対象とした加水分解卵殻膜入りの化粧水とクリームを塗布する研究でも、卵殻膜の力は明らかになりました。2週間で肌の水分含有率、3カ月で弾力性が統計的に有意に上昇したのです。卵殻膜の可能性を強く感じた瞬間でしたね。
- 私たち人間は37兆個の細胞と細胞が分泌する細胞外マトリックスでできていますが、その細胞自体はコラーゲンなどを分泌します。細胞には基本構造があり、卵殻膜にも似た構造があることが分かりました。よく考えたら、卵から雛がかえるというのも、卵をお母さんのおなかの中と同じ状態に保たないといけないという観点から、当然すごいレベルでないといけないですよね。
そうして卵殻膜を調べたら0.07㎜という薄さでも3層構造を持っており、酸素は通しても栄養素を含む水分は漏らさない、紫外線も通さない、抗菌・抗ウイルス効果もある。だから雛がかえる。これはすごい物質だぞと思いましたね。どうやって種を保存していくか。長い間で獲得し、進化してきた知恵が詰まっているのです。
その後、30名の女性を対象とした加水分解卵殻膜入りの化粧水とクリームを塗布する研究でも、卵殻膜の力は明らかになりました。2週間で肌の水分含有率、3カ月で弾力性が統計的に有意に上昇したのです。卵殻膜の可能性を強く感じた瞬間でしたね。